1997年邦楽レボリューションオレたちが共鳴した音楽
昭和50年男が青春期を過ごした1990年代は、邦楽隆盛の時代である。90年に「おどるポンポコリン」がCDミリオンセールスの嚆矢となり、95年にはCDシングル28タイトルがミリオンセラー、そして、98年はCD総生産枚数が4億5,717万枚とピークを迎えた。さて、今号のテーマは「1997年 邦楽レボリューション」である。97年のヒットチャートを振り返ると “TKブーム” が健在である一方で、R&B系やアイドル、アニソン、テレビ番組企画発のユニット、インディーズバンドなども入り、ジャンルレスな新しい潮流が生まれていた。また、この年から始まったフジロックフェスティバルが、邦楽・洋楽・ジャンルの垣根を越えてライブに熱狂できる空間だったことも象徴的である。要するに、「好きなものを聴けばいい!」という極めて自然体なマインドへの大転換 “レボリューション” である。そして、我々編集部は1997年こそが、その革命が起きた年だと宣言する。今号は、この時代にときめいたアーティストや関係者の言葉と共に、当時の邦楽シーンを掘り下げていく。記事を読んだら、取り上げている作品をぜひ聴いてほしい。かつて自身を音楽へと駆り立てていた熱いハートにスイッチが入るはずだ。
1997年は、日本の音楽シーンに “オルタナティブ” な感性を備えたアーティストが続々と登場した年でもある。そのことを象徴するのが、コーネリアスの3作目となるアルバム『FANTASMA』。圧倒的な情報量と斬新なサウンドメイクを共存させた本作、そして、97年の東京の音楽的な状況について、小山田圭吾に訊いた。
アイドルの既成概念を打ち壊したSMAPは、音楽でも新領域にチャレンジし続けた。時代を超える “カッコいい” サウンドはどのように作られたのか。音楽プロジェクトの中心を担った、野澤孝智にこだわりを聞いた。
バンドブームや渋谷系の波にも乗らず、独特のグルーヴを創り上げながら90年代を駆け抜け、その存在感を高めていったバンド、フィッシュマンズ。そんな彼らにとっての1997年は、バンド史上でも特別な一年だった。メンバーであった茂木欣一が、あの時の、熱いSEASONを振り返る。
ライダースの革ジャンを身にまとい、30年以上の長きにわたって爆音ロケンローを鳴らし続けるロックバンド、ギターウルフ。当時のメジャーではあり得なかった規格外の爆音を封じ込めた1997年のアルバム『狼惑星』制作時のエピソードを、セイジと当時のマネージャー・小林弘幸氏に振り返ってもらった。
男女の枠を越えた絢爛華美なルックスで、90年代後半の音楽シーンに衝撃を与えたヴィジュアル系。当初はイロモノ扱いされた感は否めなかったが、彼らがブームを巻き起こした裏には確固たる信念があった。そのブレイク事情に迫る。
1997年7月、大型ロックフェス「FUJI ROCK FESTIVAL」がスタート。日本のロックフェスのパイオニアである “フジロック” は、その後、オレたちの新たな音楽の楽しみ方のひとつになった。そんな今に至ったのには、やはり、忘れがたい富士天神山スキー場での第1回目がある。あの日、現場でしか感じ得なかった経験を、主催・SMASHのスタッフが語ってくれた。
昭和50年男なら、ジャッキー・チェンのようなアクションをしてみたいと一度は思ったはず。谷垣健治は「ジャッキーになりたい!」と単身香港へ飛び込み、スタントマンから世界的なアクション監督にまで駆け上がった。映画のような体当たり人生を熱く語った。
着て楽しむだけがバンドTの魅力じゃない! プリントされたモチーフや褪せた色合いからは、当時の音楽シーンや、熱心に聴いていたあの頃の思い出がじんわりと透けて見えてくるはず。ニルヴァーナ、レッチリ、グリーン・デイ、ガンズ、ブラー、オアシスら人気バンドTと共に90年代をプレイバック! モッシュ! ダイブ! あの頃の洋楽シーンと共に思い出が込み上げてくる!!
細美武士とTOSHI-LOWは、東日本大震災以降、the LOW-ATUSとして被災地を中心とした弾き語りでのライブを始めた。そして10年が経った2021年、このコロナ禍の時代にオリジナル曲を書き下ろし、1stアルバムを完成。新たに設立したレーベルからリリースされる本作は、今後もパーマネントに続いていくバンドとしての気概が詰まった、その “狼煙” ともいえる作品だ。
アニメ、ゲーム、マンガ、ラジオ、ホビーなど、昭和50年男の心を躍らせるカルチャーの数々には、つねに “ちさタロー” がいた。人気声優としてだけではなくさまざまなメディアでマルチな活躍をみせ、1990年以降の声優ブームにおけるアイコンのひとりである横山智佐。そんな彼女の “もっとパイオニア” なキャリアを振り返ってもらった。
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