終末論と輝く未来の挟間で過ごした俺たち、
昭和が見せてくれた未来は輝いていた。
昭和が描いた俺たちの未来
昭和40年男世代の幼少期である1970年代は、明るい未来と絶望的な未来が入り交じっていた。オカルトブームを巻き起こした『ノストラダムスの大予言』や『日本沈没』など、「この世の終わり」的なものが蔓延していたと言ってもいいだろう。一方で、「大阪万博」における各パビリオンをはじめとし、「沖縄海洋博」の「アクアポリス」など、未来の建造物や都市を思わせるものなどが続々登場。現実社会でも、都会では高層ビルが次々と立ち並んでいった。昭和という時代が見せてくれた「未来」のその先に生きている今、我々はこの時代の子供たちに、輝く未来を見せることができているだろうか。
敗戦からの復興期と、続く高度経済成長期に描かれた未来像が、昭和40年男世代に与えた影響は大きい。戦後の焼け野原、「ゼロ」から始まった出発点のその先には、新たな建築物やインフラができ、今につながる特撮映画やアニメ作品なども登場。それぞれの分野から代表的なものを取り上げ考察していく。
昭和40年男世代のSF観は『宇宙戦艦ヤマト』の登場によって大きく変わった。アニメは子供が観るものといったイメージを大きく覆した『ヤマト』は、やがて社会現象となり心の拠り所になったと言ってもいいかもしれない。今もそのシリーズが続く、『ヤマト』。その「衝撃」の原点を振り返ってみよう。
1970年代は、さまざまな怪奇現象や不思議生物にまつわる噂が飛び交い、今で言う都市伝説の宝庫のような時代。学校では放課後にコックリさん、ツチノコ探しにUFO召喚…その他諸々、半信半疑ながらも、実は結構真剣にやっていた人も。そんなブームのなかから厳選した11のふしぎ伝説を見てみよう。
1973年に刊行された『ノストラダムスの大予言』は、発売と同時に瞬く間に日本列島を震撼させた。まだ小学生だった昭和40年男世代にとっては1999年に世界が終わるというその内容はあまりにもショッキングだった。著者の五島 勉氏に刊行に至るまでの経緯や、当時の異常なほどの反響ぶりを伺った。
大阪万博の記憶がおぼろげな昭和40年男世代にとって、はっきりと記憶に残っている博覧会といえば、「沖縄国際海洋博覧会」だろう。本土に復帰して4年目、当時沖縄の地は小学生にとっては遠い憧れの南国だった。行きたくても行けなかった…見たかった「アクアポリス」…。そんな海洋博に思いを馳せる。
来るべき21世紀の象徴、音速を破った唯一の民間航空機・コンコルド。その優美な姿形もあって、「いつかは乗ってみたい!」と憧れた人も多いはず。しかし、そんな夢の超音速旅客機が実は「時代遅れ」だったという驚きの見解について、科学ジャーナリスト・中村浩美氏が当時の事情をわかりやすく解説。
少年時代に親しんだ作品のなかで描かれた未来。その時代を我々は現実の世界ですでに追い越し始めている。『バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡ』でマーティが行った未来は2015年…、残念ながら今もそこまでは進化していない。仮想と現実を同じ時系列で並べた年表を見ながら、この先の「未来」を思う。
1982年に連載が開始された『AKIRA』が描いた37年後の東京は、目を覆いたくなる世界だった。そんなはずはないと思いつつ、時を超えて戦慄が走るのは、奇しくもこの作品で描かれていた2020年東京五輪開催が決まったから…。大友克洋が描いたディストピアは未来に対する諦感の前準備だったのか…